俺多分ドラマの主人公

大瀬戸日舎(にっしゃ)

大学1年生。大瀬戸。このブログを読めば心がちょっとドラマチックになる。

andymoriを聴くとあの苦い夏が蘇るけど俺は聴くのをやめられないんだ

7月、夜の海辺だった。

 

 

 

 

 

 

空と海の境界線が分からなくなって暗めのターコイズブルーの壁のようになっていたことをよく覚えている。

 

 

 

 

 

 

俺はそこで当時好きだった子に告白した。

 

 

 

 

 

 

10秒もの沈黙の後に返された言葉は「ごめんなさい」だった。

 

 

 

 

 

 

 

告白をしてこんなに待たされた経験がなかった俺は、10秒の長さを思い知った。

 

 

 

 

 

 

 

17歳の夏。高3の夏。

 

 

 

 


 

 

 

 

中学から高校に上がるときに他県に進学したマナカという女がいた。

 

 

 

そいつは少し変わっていて、中学の誰かがツイッターやLINEで失言をするとすかさずスクショを撮って保存したり、クラスの男の顔をニュースに流れる犯罪者にハメたコラ画像をいきなり送ってきたり、ツイッターの裏垢で男女問わずボコボコに悪口を言ったりと、まぁ服を着た"インターネット"といった感じの奴だった。客観的に見たら結構終わりみたいな性格をしている。

 

 

 

 

普通なら避けるのが正解だけど、俺はなぜかそいつと人生のスタンスというか、思考の雰囲気といったものが珍しく合ったのでよく話していた。恋愛感情とかは全く湧かないけど何か興味が出ちゃう奴。そういう異性、いたでしょ、一人くらい。

 

 

 

 

高校生になってからもマナカ含めた友達で色々と遊びに行っていた。マナカは夜行バスでこっちまで来ていた。

 

 

 

 

 

また、俺は中学2年生の時に作ったツイッターアカウントとは別に、高校一年生からフォローフォロワーが5,6人、中学で部活が一緒だった奴を中心にして繋がっているいわゆる裏垢というものを使っていて、その中にはマナカがいた。

 

 

 

全員話の分かる奴で、"俺の言葉"を分かってくれる奴だった。もちろん今でも使っているけれど、本当に居心地が良い。

 

 

 

 

インターネットに居心地を感じる俺も既にどこかおかしいのかもしれないが。

 

 

 

 

他人の悪口なんていう面白くないことではなく、ただ単に日常で起きたことに対しての感想やら欲しいスニーカーやら服やらをツイートして、たまにリプライを送りあっていた。

 

 

 

 

 

そんな裏垢で俺が高3の6月に

 

「なんか夏っぽい音楽ねぇかな...」

 

とつぶやいたところに、マナカからのリプライがあった。Youtubeのリンクが貼ってあるだけだった。

開くと、andymoriというバンドの、すごい速さという曲が流れた。

 

 


andymori "すごい速さ"  

是非聴いて欲しい。2分も無い曲だからすぐに終わる。夏のように。

 

 

 

 

なぜかはよく分からなかったけど、すごく夏だった。もちろん夏っぽい音楽を聴きたかったところで開いたんだからある程度の準備は付いていたけれど、俺はこれを何の前フリもなく、歌詞から夏という単語を取り除き、冬に聴かされたとしても

 

「あっ、夏だなこれ」

 

と言っていたと思う。

 

 

 

 

 

夏を曲にするっていうのはいわゆるパリピが強くて、極端に分かりやすく夏だ夏だ灼熱だ、海だ女だ太陽だ、を歌う。

 

 

 

 

対してandymoriは歌詞に端的な夏を突っ込むことはせずに、曲の雰囲気だったり、音像だったり、空気感だったりで俺に夏を分からせてくれる。俺は日本人的なのかひねくれているのか、こういった後ろから優しく抱きしめられるような芸術にすごく綺麗な感情を覚える。

 

 

 

音をむやみに飾り立てることはせず、3人だけの音で勝負するスリーピースバンド。

 

 

 

 

ボーカル、小山田壮平の、透き通った、幼い子供の屈託のない笑顔のような声も本当に綺麗で好きだ。そしてその綺麗な声で精神異常だとか、人身事故、カニバリズム、車椅子の死刑囚を歌う曲もあるもんだから、もう好きなんだ。そういうところが、好きなんだ。

そんな彼は2013年の7月に飛び降りをして大怪我を負った。彼の事情や状況について細かく書くことはここではしないが、結果として死に至ることは無かった。死のうとしていたことは前提である。

 

全てが過去の状態ながらandymoriを知った俺は、なぜか、「生きててくれてよかった」と思った。偉そうなものである。

 

 

 

 

 

そしてその時たまたま関連動画に載っていた「グロリアス軽トラ」も聴いた。

できることであればこれを再生しながら読んで欲しい。


andymori "グロリアス軽トラ"

 

 

 

やっぱり夏だった。この曲において夏を表す言葉は「スイカ」ただ一つだ。それでも、なんだか、夏だ。

 

 

 

 

 

俺はこの他にも沢山の曲を通学中勉強中に聴きまくった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな中、最初の通り俺は当時好きだった女の子に海で、告白した。

行きの電車はもちろんandymoriを聴いていた。

 

 

 

 

 

 

なんだ海に行けるほどの関係性なのか、と思うかもしれないがそうではない。クラスが同じで、それで体育祭の打ち上げとしてみんなで海に遊びに行った時にみんなの目を盗んで2人になり、そこで玉砕確定の告白をしただけの話だ。

 

 

 

 

 

帰りも俺はandymoriを聴いていた。なぜか中学生の時に付き合っていた女の子とバッタリ電車で遭遇したのも、神様がその日をさらに苦々しいものにしようとしているみたいでなんだか嫌だった。

 

 

 

 

 

最寄り駅から自転車に乗り家に帰る時、俺はいつもより遠回りして、長い長い下り坂をブレーキもかけず、いやむしろ全力で漕いで加速しながら「フラれたーーーーーーー!!!!!!!!!!!」と叫んでいたけれど、あれは多分神様に対して俺が空気を読んだ結果の行為だと思う。

 

 

 

 

 

 

今、この記事を書きながら俺はandymoriを聴いている。あの告白をしてから、なぜか、どうしてか聴かなくなってしまっていたのだけど、時間を置いて改めて聴くと一瞬であの日の情景と、自分自身をandymoriの夏の世界観に放り込んだかのような、2つがのりづけされたかのような不思議な苦い夏の感覚が蘇る。

 

 

 

 

 

でも、聴くのはやめられない。少し立ち止まってしまったけれど、俺はこれからもずっとandymoriを聴き続ける。感傷がどうだとかの話ではない。綺麗だから。好きだから。綺麗な声にメロディーにまたがる黒い歌詞だとか、それ以外も全部が。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

このバンドを俺に教えてくれたマナカに、どの曲が好きで、その曲のどこが好きなのかを聞いたことがある。

 

 

 

彼女はクレイジークレイマーという曲が好きと答えた。

 

 

 

 

 

実際にどこが好きとは言わなかったが、歌詞のこの部分を送ってきた。

 

 

 

 

 

 

弱虫能なし用なしと皆口を揃えては簡単に捨ててしまえる真実は使い捨てカイロの末路

 

 

 

 

 

 

病名でもついたら 病名でもついたら

 

 

いじめられないし  もう少しは楽なのかな

 

 

 

 

 

 

クレイジークレーマー 美しさってなんだろうね

 

 

 

お前だよとまでは言えるわけないけれど 

 

 

 

ひまわりを見に行こう

 

 

 

 

 

 

クレイジークレーマー  そんな目しないで

 

 

 

世界で一番お前が正しいんだよって俺が歌ってやる  

 

 

 

みんなの前で

 

 

 

 

 

 

それぞれがそれぞれの夏を背負って、憂を背負って生きている。

 

 

 

 

 

これからの俺は、どんな夏を、どんな憂を感じるのか。

 

 

 

 

 

そんなの分からないし、andymoriを聴こう。

 

 

 

 

夏だから。好きだから。